雌鳥が鳴けば家が滅びる

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諺で知る韓国の熱い心
第四回 雌鳥が鳴けば家が滅びる
『雌鳥が鳴けば家が滅びる(암탉이 울면 집안이 망한다、アンタギ・ウルミョン・ジバニ・マンハンダ)』という俗諺があります。夜が明けたら雄鳥が鳴くのが一般的な考えですが、雄鳥が自分の役割をしないで、代わりに雌鳥が鳴くと家が滅びるということを表現している諺です。つまり、「家庭の中で、夫を措いて家内が家庭のことに干渉すると一家が平穏無事にできない」という意味です。男性を雄鳥、女性を雌鳥に比喩し、韓国の男尊女卑思想や家父長的な家族制度、男性優位論などの考えを表現した言葉です。
他に女性を卑下した俗諺で「山の神の身分はドゥイウンパク身分(여편네 팔자는 뒤웅박 팔자、ヨピョンネ・パルジャヌン・ドゥイウンパク・パルジャ)」という表現もあります。여편네 (ヨピョンネ)は既婚の女性を蔑んで呼ぶ言葉で、팔자 (パルジャ)は人生、身分、定めという意味を持ちます。(パルジャのことに関しては14章で詳しく説明しています。) 뒤웅박 (ドゥイウンパク)はふくべということです。合わせて解釈すると「女性の運命は夫によって結ばれているもの」という意味を持ちます。水くみ用のふくべの紐が切れてしまうと意味がないことに女性の人生を喩えた表現です。つまり、女性の存在価値はどんな男性と会うかによって左右される、既婚女性の人生は夫のやり方による、男性あっての女性という男性優位論的な考えを窺うことが出来る俗諺です。
実は韓国では朝鮮時代の初中期までは女性がかなりの自立性を持っていたと伝えられています。娘にも息子のように相続の権利が与えられており、特に女性に対する差別や冷遇もなかったと言われています。女性より男性の地位が高く思われ始めたのは朝鮮時代の中後期からのことで、その時から女性を卑下する色々な言葉が出来たと考えられます。朝鮮時代の後期からは韓国も厳しい家父長制を用い、家長である父が家のことに関して権力と地位を持ち始め、家庭の秩序を維持させてきました。同時に相続に関する権利も全て息子、特に長男に託されていたそうです。
現代の韓国はどうでしょうか。今でもちゃんとした家庭では食事の時、祖父または父(家の家長である人)がスプーンを持つ前に誰かが食べ始めると「卑しい、無作法な行動」として思われるなど、父系中心文化はまだ相当残っていますが、昔のような家長の絶対的な権力は現代化と共に少しずつ消えてきたと考えられます。2013年当選した女性大統領の登場、様々な分野への女性の社会進出、大企業の育児補助制度などが出来、結婚したら職場から離れて家事に専念した過去と比べ、韓国の女性の権利はかなり伸張したことが分かります。
現在、韓国ではゴールドミスブームが起こっています。流行となっている新造語、「ゴールドミス(골드미스)」というのはGold Missという韓国式英語から作られた言葉で、30代以上40代未満の、学歴が高く、社会的、経済的な余裕を持つ独身女性の階層を意味する言葉です。語源自体は老嬢を意味するOld Miss(オールドミス)から来ましたが、オールドという否定的言葉がゴールドに昇格したものです。具体的には年収4000万ウォン(約400万円)以上の高所得の専門職、大企業の社員であるか、不動産などの全体的な資産規模が8000万ウォン(約800万円)程度を超える女性たちが「ゴールドミス」の範囲に含まれます。主にゴルードミス等は結婚よりも自分のキャリアを重視し、独身時代を謳歌することで知られています。
では、ゴールドミスに相当する男性には何というのでしょうか。ゴールドミスに対する男性を指す言葉は意外にもゴールドミスターではなく、「オールドミスタ-」のままです。 能力と財産を持っているゴールドミスに比べて同じ状況にある男性は女性ほど歓迎されていないようです。ゴールドミスは家事や家庭のことに気にしなくても良いという利点で仕事にさらに集中できると思われる反面、オールミスターは家族を持たないことから安定感、信頼感が不足し、職場への忠誠心が欠如しているかもしれないと感じられるそうです。
上のような現象から韓国で女性と男性の地位がすでに逆転していると言えるかもしれません。ですが、それは事実ではありません。なぜなら、ゴールドミスが社会から歓迎される理由はあくまでも彼女たちが「独身」であるからです。実はゴールドミスで溢れている韓国のこのような現象は、韓国社会で女性が家庭と仕事を両立するのがどれほど難しいかを示しています。2013年マスターカード・ワールドワイド女性社会進出度という統計によると、韓国の女性社会進出度は日本と共に最下位にとどまっています。政治や行政など国の要職に関しては男性が中心となって働き、女性に対するガラスの天井効果が作用していることが分かります。韓国も日本も社会の基本単位である家族の価値を守りながら結婚後も社会で活躍できる「ゴールドミセス」や「ゴールドママ」たちの登場を期待しないといけない時期に到達しています。
「雌鳥が鳴けば家が滅びる」という家父長的な俗諺に対し、「雌鳥が鳴けば家が良くなる(암탉이 울면 집안이 잘 된다、 アンタギ・ウルミョン・ジバニ・ジャル・デンダ)」という新俗諺を作って反駁する人々も多いです。ですが、「雌鳥が鳴けば家が良くなる」という新俗諺は、女性の社会進出や社会的な地位が本当に高まってこそ意味あるものになる訳です。

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