他人の祝宴に柿をおけ梨をおけと言う

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諺で知る韓国の熱い心
第五回 他人の祝宴に柿をおけ梨をおけと言う
『他人の祝宴に柿をおけ梨をおけと言う(남의 잔치에 감 놓아라 배 놓아라 한다、ナム・ジャンチエ・ガム・ノアラ・ベ・ノアラ・ハンダ)』という俗諺があります。他人のことに無駄に干渉する、関与するという行為を他人の宴会へ行って、あれを備えろこれを備えろと口を出す姿を比喩した諺です。他に、「祝宴」の代わりに「祭祀 (제사、ゼサ)」、「市場(장、ジャン)」という言葉を使う場合もあります。後は、「他人」の代わりに「結婚した両家の親の家(사돈 집、サドン・ジプ)」を使う場合もあります。日本語の表現としては「隣の糠(ぬか)はたき」という言葉に相応する俗諺です。
韓国の配慮という概念は日本とは若干違いがあるようです。個人的な経験を例として挙げてみます。韓国で日本語の塾に通っていた時です。先生は韓国人と結婚した日本の方で韓国に五年以上住んでいる方でした。私が"最初に韓国に来た時、どんな文化の違いを感じましたか"と聞いてみると先生はこのような話を聞かせてくれました。"日本では飲み会への断りは「今日はちょっと」や「ちょっと」という言葉で済む場合が多いです。でも、韓国ではそれでは済まない場合がありますね。ハハ" 。韓国では「今日はちょっと(오늘은 좀、オヌルン・ジョム)」と断りの意思を見せても「なんで?」「何かあるの?」「行こう行こう〜」という反応が来るという話でした。そして、断っても「結局、連れて行かれる」ことになったらしいです。
日本では私生活で、どこかに誘われて行きたくない時は「用事があります。」「都合が悪いです。」「その日はちょっと」などの便利な言葉を使うとそれで拒否の意思が伝わり、それ以上はあまり誘われない場合が多いと感じられます。しかし、韓国では事情が若干違います。韓国でも、「ちょっと用事があるんですが(좀 일이 있어서요、ジョム・イリ・イソソヨ)」のような便利な言葉はありますが、その次は大抵「なんで? なんかあるの? なんかありますか?」という返事が来ます。そうしたら、「実は〜という用事がある」ことを説明するか、何の用事もない時は自分で無理やり用事を作ります。つまり、日本では余計なことは聞かない方が礼儀であるし、配慮だと思われるが、韓国では他人の事情を詳しく聞くのが配慮と思われるようです。
「他人の祝宴に柿をおけ梨をおけと言う」という諺は現在、おせっかいな行為を批判する、否定的な俗諺としてよく使われます。しかし、このような俗諺は農業社会だった韓国の伝統と深く繋がっているものです。昔の韓国では町の共同体を作って、家族や近隣のお世話、絆を重視していたことが伝えられています。他人の宴会や祭祀に行き、あれが要るこれが要ると言う姿は実は韓国の「情(정、ジョン)」を表現しているかもしれません。自分の祝宴ではなく、他人の祝宴に柿をおけ梨をおけというのは確かに余計な口出しですが、それほど他人のことを心配に思っている、あれこれと気を配ってくれるという多少肯定的な意味も持っているのではないかと思います。
一般化はできない小さな文化の違いですが、こんな部分から韓国の人と日本の人が話す時、たまに誤解が生じるのもあり得ると思います。韓国人が最初から色々なことを聞いて親しくなろうとすると、日本人は「なんでこんなことまで聞くの?/なんでこんな余計なお世話をするの?」のように「干渉だ」や「失礼だ」というように思うかもしれません。逆に、日本人がちょっと距離を置いて礼儀を守るために基本的な話だけをすると、韓国人は「なんか、親しくになりづらい」「この人は情(정、ジョン)がない」などと感じるかもしれません。ただ、日本も韓国も人それぞれの性格が違うので、このような話はあくまで一例に過ぎないものです。
日本では本音と建前という文化概念もあり、幼い頃から他人に迷惑をかけないように育てられた人が多いと感じられます。それで、嫌なことがあっても相手の前では直接表現せず、どんな意見でも一旦「そうですね」と同意しておく、余計なことやプライベートなことは勝手に聞かない、のような方式で他人を尊重する気持ちや礼儀を表現することが分かります。しかし、韓国では日本と比べると比較的に素直、直接的で、ストレートな言い方をする場合も多いです。日本の人よりは表情から気持ちが読める人も多いと思われます。他人のことを聞き、周りに関心を持ち、たまにすごく干渉することで愛情を表現する文化だと言えます。
人と人の間にある線を守りながら交際するのが日本文化だとすると、その線を超えながら親しんでいくのが韓国の付き合い文化ではないかと思います。勿論、人によって解釈も違うためこのような話にはある程度限界もあるし、状況にもよります。どちらの方が良いと言う話でもありません。それでも、このような小さな文化の違いを認識してみるとお互い理解ができ、日韓交流もより円滑に進むのではないかと思います。

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