いとこが土地を買うと腹が痛い

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諺で知る韓国の熱い心
第七回 いとこが土地を買うと腹が痛い
土地 『いとこが土地を買うと腹が痛い(사촌이 땅을 사면 배가 아프다、サチョンイ・タンウル・サミョン・ベガ・アプダ)』 という俗諺があります。「周りの人や他人がうまくいくことを妬む」という意味です。嫉妬心や猜疑心を表現している諺で、他人が自分より良くなることに対して妬ましい感情を持つ時、他人が何かを成就して羨ましく感じる時、使われる諺であります。似ている表現としては日本語の「人の花は赤い」に相応する「他人の餅が大きく見える(남의 떡이 커보인다、ナム・トギ・コボインダ)」という俗諺があります。
韓国にあるこの俗諺は元々「いとこが土地を買うと腹でも痛くなければならないのに(사촌이 땅을 사면 배라도 아파야 할 텐데)」だったという意見も伝えられています。親族や隣近所の人が畑などを買うと、それを祝う目的で何かをあげたかったが、貧しかった昔の人々は別にあげられるものがなかったので人糞を堆肥としてあげたという話です。このようにお互いを助けるという本来の意味が日本の統治時代を経て現代に至っては否定的な表現に変わったという意見もありますが、とにかく現在は「他人の成果を妬む」という意味で使われています。
親族がアパートや家などを新しく買った時「うちも頑張ってそろそろ家を買わないといけないのに」、子供の友達がいくつも良い塾に通っているのを見ると「うちの子も行かせないといけないのに」、隣の人が最新の家電製品を買うと「うちもあれこれと新しく買わないといけないのに」など、韓国では周りと比べて自分の目標を決めたり刺激を受けたりしている人々の姿がよく見受けられます。上述の「いとこが土地を買うと腹が痛い」という俗諺は、他人の成就を羨ましく感じることから韓国社会の尽きない他人との比較心理をよく表現しているものだと思われます。
「オムチナ(엄친아)」、「オムチンタル(엄친딸)」という言葉があります。それぞれ「母の友達の息子(엄마 친구 아들、オンマ・チング・アドル)」、「母の友達の娘(엄마 친구 딸、オンマ・チング・タル)」という言葉の略語として作られた有名な新造語です。「何でもできる上手な子」という意味で使われている単語ですが、元々は韓国のお母さんたちが自分の子を友達の優秀な子と比べる姿から誕生した言葉です。"友達の息子は今年頑張ってソウル大学に入ったらしいね/友達の娘はクラスで一番らしいんだよ"などと自分の子供に小言を言ったことから「母の友達の完璧な息子」という意味で「オムチナ(엄친아)」という単語が出来ました。このような面白い新造語から、韓国社会では子供たちがどれだけ他人と比較されて育てられているのかが分かります。
他には「いとこが土地を買うと腹が痛い」や「他人の餅が大きく見える」という諺からは「自身」より「他人」の目を重視する韓国の「体面文化(체면 문화、チェミョン・ムンファ)」を読みとることができます。체면 (チェミョン)というのは日本語でも体面、世間体という意味の同じ言葉があります。しかし、韓国での体面は「他の人から見られる自分」のような意味で、韓国の一つの文化概念として考えても支障がないほどよく使われている言葉です。主に「체면이 서다 (顔が立つ)」、「체면을 차리다 (体面をとりつくろう)」、「체면이 상하다 (面目を傷つける)」のような熟語をよく使い、表現としては「체면이 있으니까 (体面があるからね)」「체면이 있지 (体面があるでしょ)」などをよく使います。韓国でチェミョンというのを強調する時、その理由は「周りの・隣近所の・他人の見る目があるから」ということで、娘や息子の結婚式を自身の能力より盛大にしてあげる、柄にもなく昏睡をする、予算外の高い車を買うなどの場合によく使います。少し否定的に解釈すると日本語の「見栄っ張り/虚勢」に相応する言葉です。
他人の成就を妬んだり他人と比べたりと体面のため他人の視線を気にしたり、心が狭いとか変な気質だと思われるかもしれませんが、このような文化は韓国の伝統から生み出された部分でもあります。農業社会だった韓国では昔、季節や天気によって畑を耕して田を作るなど、時期に合わせながら周りの人と大抵同じことをしてきました。勿論、韓国でも自分の主観がはっきりしていて心根がある人々、周りを気にせずにマイペースに生きていく人も多いですが、このような農業社会の伝統からの影響で、社会的に見ると自分自身の考え、哲学、感情よりも他人からの判断、視線を非常に気にする人々も多い気がします。
自我より他我を中心として生きていく社会、みんなが「周りと同じように」平均ぐらいになろうという気持ちで頑張る社会、競争的に平等であることを追求する社会であるというのも韓国社会の一面だと考えられます。確かに、他人を気にしすぎる行動や他人の成果や成就に対する嫉妬心など、感情としては良いとは言えません。しかし、上に述べた周りの視線を気にすることや体面文化、物質的に平等になろうと競争してきた心理は、国家的には発展の原動力になった部分でもあります。国が成長する時はこのような他人との競争心理が肯定的に作用したかもしれません。しかし、これからは、個々人の幸福を追求していくような先進国となるため、韓国の人ももっと自分中心の考えで生きてほしいです。
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