白紙一枚でも一緒に持てば軽い

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諺で知る韓国の熱い心
第八回 白紙一枚でも一緒に持てば軽い
『白紙一枚でも一緒に持ちあげれば軽い(백지장도 맞들면 낫다、ペクッチジャンド・ マットゥルミョン・ナッタ)』という俗諺があります。元々軽いものである白紙一枚でも他人と力を合わせて持ち上げればさらに軽いということで、「いくら容易い事でも力を合わせるともっと容易い」という意味です。協力や協心など韓国の協同の精神を表現している代表的な諺で、一手でも多ければ仕事は楽になるという日本の言葉にも相応する俗諺です。韓国では昔からお互い助け合ったたり手伝ったりする相互扶助の精神を価値あるものとして重視してきました。韓国社会の特徴の一つとして挙げられる、この相互扶助の精神は昔から色々な形で現れてきているのが分かります。
韓国の先祖らの相互扶助の精神を窺うことができる習慣の中で、「품앗이 (手間替え、プマシ)」と「두레 (協同組織、 トゥレ)」というものがありました。まず、품앗이 (プマシ)は野良仕事などきつい仕事の助け合い、労力での相互扶助という概念です。労力を意味する「プム」という言葉と、交換を意味する「アシ」という言葉を合わせた単語で、簡単に言えば農業社会で隣近所間、親族間、周りの家族の間で、労力を借りたり貸したりする行為、「労力提供の見返り」です。主に、私的な仕事に多く使われ、一度労力を借りたら返すことが前提となっていましたが、必ずしも毎回返さなければならないということではなかったと伝えられています。このようなプマシの文化には、辛い仕事に対してはお互い助けようとした韓国の先祖らの精神が反映されています。
あとは、두레 (協同組織、トゥレ)というものがあります。두레 (トゥレ)は農繁期に互いに協力するため集落内に組織された共同体のことです。朝鮮時代の後期から韓国の普遍的な農民生活の風習として定着し、農民文化の発展に大きな役割を担ったと伝えられています。表現としてはトゥレ農事(두레농사)、トゥレ日(두렛날;協同作業をする日)、トゥレ田(두렛논;協同で作業する水田)のように使われるトゥレは、小農の難しさを克服するためにより多くの人が協力して働いた肯定的な組織でした。このような温かいトゥレの文化も韓国の伝統的な相互扶助の精神をよく現したものとして知られています。
上記のような韓国の相互扶助の文化が現在までも続いているものが「계(頼母子講、ケ)」です。계(ケ)は人がグループで集まることで、主に経済的にお互いを助け、親睦を維持するために行ってきた韓国独特の文化です。大昔から存在してきたこの계(ケ)という組織は身分、年齢、職業などによって数えきれないほどの種類があります。계(ケ)に対する辞書での説明は「多数が一定の目的のために定額の金銭・穀物・反物などを出し合い、それを運営又は殖して互いに利用する」とありますが、例を挙げて説明すると次のようなことです。A、B、C、Dの友達四人が一つの계(ケ)を作ります。一ヶ月に一度会う度に一人1万円ずつ出すことをルールとします。事前に決めた順番で(例えば、A、B、C、Dの順番)集めたお金を一人に託します。一ヶ月目はAが4万円をもらうことができ、二ヶ月目はB、三ヶ月目はC、四ヶ月目はDがお金をもらいます。一通りここまで来たら、계(ケ)は終わるか最初からまた始まります。もし、A、B、C、Dの中で急にお金が要る人がいたらお金をもらう順番を変える場合もあります。集まる際、欠席する人には罰金をもらうルールがあるグループもありますし、お金をもらう順番は決めず結婚、祭祀、葬礼など一度に多くのお金が要る人に回してあげることを選ぶグループもあります。お金の金額や계(ケ)の人数、계(ケ)の目的などによっても様々な形の계(ケ)が作られます。
계(ケ)に関する表現としても色々なものがあります。親族間で形成する계(ケ)は「가족 계(家族ケ)」、同窓が集まる계(ケ)は「동창 계(同窓ケ)」と言い、계(ケ)という表現と共に集まりを意味する모임 (モイム)という単語を付けて「---계 모임 (ケモイム)」という表現を使います。---の部分に集まる場所の名前を付けて「강남 계 모임 (カンナム・ケ・モイム)」、「홍대 계 모임 (ホンデ・ケ・モイム)」のようにもよく使われます。集まった계(ケ)のお金を自分がもらうことが出来る時「계 를 타다、ケル・タダ(ケをもらう;総掛け金を受け取る)」と言いますが、このような表現から別に계(ケ)でお金をもらった時でなくても、「何かいい事があった時」、韓国の人は「계 탔다!(ケタッタ!;ケもらった!)」といった表現を使います。
このように、韓国の人は昔から계(ケ)という文化の中で、一度に多くのお金が要る時に備えながらお互い経済的な支援をし、友情も深めてきました。現在のようにお金を貯めるのとは違い、昔は家畜、土地、穀物なども対象にしたそうです。昔の伝統的な韓国社会では、このような계(ケ)文化が銀行のような役割をしたようですが、銀行が出来た現代でもこの계(ケ)文化は、主に韓国のおばさん(아줌마、アジュンマ)たちを中心に多様に活用され、続けられています。韓国の人は何か共通の関心事に基づいて多くの人を集めることが大好きな民族です。何か成就すること、解決することがある時でも、組織を作って一緒に取り組もうとする傾向があります。一人よりは一緒に楽しむことが好きな韓国人の姿は「白紙一枚でも一緒に持ちあげれば軽い」という相互扶助の精神や계(ケ)の伝統から続いているものです。
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