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第一回 「モクバン(먹방)」見るだけで美味しい!

モクバン、見るだけで美味しい! モクバン(먹방)
最近、韓国で新しく造られ、すごく流行っている単語です。韓国語をある程度勉強している方でも「モクバンって何?」と思っていらっしゃるだろうと思います。 モクバンは「モクダ(먹다,食べる)」と「バンソン(방송,放送)」の合成語で、意訳すると「食べ放送」、つまり「食べる姿が放送される番組」のことでしょう。 日本もそうですが、韓国にも料理とか人気のお店などを紹介するテレビ番組がたくさんあり、かなり人気もあります。特に、韓国は日本よりも夜食や出前料理が発達されていてドラマ、深夜映画、サッカーなどを見ながらチキン、豚足(ジョクバル)などを食べる姿は韓国家庭においては極めて一般的な姿なのです。そのため、夜とか週末に放映される料理番組などがその日の出前料理メニューを決めるといってもいいほどそのような番組の影響力は強いです。
しかし、「モクバン」はこのような単なる料理紹介番組ではなく、他の意味を持っています。個人的には面白い意味だと思っています。「モクバン」は、料理やお店を紹介する番組のことではなく、「食べ物を本当に美味しく食べる人の姿」を意味するのです。しかも、モクバンの対象は番組に出演する芸能人だけではなく、一般人まで拡張されているというのが目立つ現象だと思います。 男子俳優ハ・ジョンウ(하정우)さんが映画『黄海』(日本名『哀しき獣』)で男らしく、タフに海苔を食べるシーンがすごく話題になりました。その後「ハ・ジョンウ・モクバン・シリーズ」のようなタイトルで彼が何かを食べているシーン全てがすごく人気になったのです。はっきり断言することはできませんが、「モクバン」という単語が始めて造られたのはこの時期ではないかという人が多いです。
また、軍隊を体験する芸能番組に出演しているZE:Aのパク・ヒョンシク(박형식)さんが理性を失ったように給食を美味しく食べている姿は、軍隊の給食に対する大衆の大きい関心を引き出したほど人気でした。「だいたいどんな味なのか、そんなに美味しい?、食べてみたい!」のような反応が圧倒的で、大学の学食などで軍隊メニューが出るようになったのです。 歌手ユン・ミンスの息子ユン・フは芸能人ではないものの、「モクバン界の新星」と呼ばれるほど人気を集めました。「チャプチャプ」と音を出しながら美味しく卵焼きを食べる7歳のユン・フをみて多くの人はユン・フを愛するしか仕方がなかったのです。さらに、ある食品会社に「フちゃんを広告に採用してください」という人々の請願が溢れ、結局フちゃんが広告を撮影するようになったこともあります。彼の人気を証明する異例的な事件である同時にモクバンの波及力がわかる事件だと思います。
このように、食べ物だけではなく、それを美味しく食べている人まで人気を集めるようになった理由はなんでしょうか。もちろん理由は色々あるでしょうが、私は「食べる」という行動に対する韓国人の意識が一つの理由ではないかと思います。 韓国では「福々しく食べる」という表現があります。もちろん、これは「本当に美味しく食べる」ということを意味するでしょう。このように、美味しく食べる行動をみて「福々しい」と表現するほど、韓国人は美味しく、よく食べることはいい姿勢だと考えるのです。更に、昔の韓国人はそのようによく食べる人に福が来ると思っていました。その一方、偏食して食べるか、まずく食べると「福が吹っ飛ぶ」と思っていました。「福」というのは誰にとっても欲しいもので、それが来るということも本当に願っている良いことです。逆にそれが吹っ飛んでなくなるのは本当に怖くて避けたいものですね。もちろん、実際「福」が来たり、吹っ飛んだりするわけはないでしょうが、それほど韓国人は食べる姿勢を重視したことが分かると思います。このような姿勢が今のモクバン烈風までにつながったのではないでしょうか。
もちろん、このようにあえて分析しなくても、誰か何かを美味しく食べていることをみると自分も食べたくなったり、見るだけでもその味が分かるようになって幸せになることは誰にとっても同じですね。今の韓国人はその幸せを感じたいのではないかとも思います。

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