新造語から学ぶ韓国語という言葉と文化 - 第三回 タルバボ

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新造語で学ぶ韓国語という言葉と文化
第四回 タルバボ(딸바보)、聞くと気持ち良くなる悪口
タルバボ(딸바보)
タルバボは「タル(딸、娘)」と「バボ(바보、馬鹿)」の合成語です。普通は馬鹿というのはあまりいい単語ではないですが、韓国ではある程度愛情を持っているチング(친구、友達)や親しみのある人にバボ(馬鹿)という時もあります。日本のドラマをみると日本もそうだと思いますね。ドラマとかで恋人に「バ〜カ!」とかいいますが、そのような感じの言葉なのです。ということで、タルバボは「娘の前では馬鹿になってしまう男」のことです。意味だけでどんな感じが分かりそうですね。何年前から「タルバボ」という単語は若い世帯から始めて流行るようになり、今は放送などでもよく出る単語になりました。
今年のチュソク(추석、秋夕:陰暦8月15日、韓国の民族的祝日)には「スーパーマンが帰ってきた(슈퍼맨이 돌아왔다)」という芸能番組が放映されました。何人の芸能人が妻の変わりに自分の子供の世話をする番組でした。この番組では格闘技選手、チュ・ソンフン(추성훈、秋山成勲)さんと彼の娘、チュ・サラン(추사랑、サラン:愛)ちゃんが話題になりました。サランちゃんの可愛い顔や「アパ〜(아빠、パパ)」とチュさんを呼んだり注射を打ってもらう時に大声で泣いたりするサランちゃんの行動が視聴者を魅了し、人気を集めたのです。 チュ・ソンフンさんは、柔道選手や格闘技選手などのイメージが強くてマッチョのようなイメージがありますね。しかし、そのようなチュさんも自分の娘の前ではまるでバカのように笑ったり、サランちゃんがママ(矢野志保)を尋ねながら泣く時にはどうすればいいか分からなくて慌てふためいたりする意外な面を見せてくれました。また、「僕の父は僕を厳しく育てた。だが、僕はサランには友達のような父になりたい。」といい、娘に対する愛情を表現したのです。放送の後に、多くの人は自然にチュ・ソンフンさんを「タルバボ」と呼ぶようになりました。 しかし、タルバボにはチュ・ソンフンさんのような既婚者のタルバボしかいないわけではありません。赤ちゃんとか女の子をみて可愛がる顔をしたり、うまく子供の世話をしたりする未婚の男に対しても「未来のタルバボ、予約だね」のようがことをよくいうのです。かなり一般的な単語になったと言ってもいいでしょうかね。
昔の韓国は、「男尊女卑」つまり男は貴重な存在であり女はそうではないという考え方がありました。約40年前までも息子は高校あるいは大学まで進学する人が多かった一方、娘は大学に進学せず、高校あるいは中学校を卒業したらすぐ働いて家庭を支えるというケースが多かったそうです。しかし、今の若い世代にはその時代が想像もできないほど韓国は変り、今も変っています。「娘は結婚するとその家門の人になる」と言っていた時代から「娘が結婚したら、その婿は内の息子になる」と言う時代に変っているのです。このように、息子と娘を差別しない考え方が韓国全体で何十年前から広がり、差別的な考えや発言をする人が「旧時代的だ」と非難されるようになりました。  今はむしろ「無愛想な息子よりも優しくて愛嬌のある娘が育てるやりがいがある」というようになり、今の男に「子供を生むなら息子を産みたいか、娘を産みたいか」と聞くと娘がほしいという男が多いそうです。逆差別だという意見が出るのも無理ではないですね。「タルバボ」は、このように女性の地位があがった時代を背景に自然に生まれた単語ではないかと思います。
もちろん、タルバボ以外にも「アドル(아들、息子)バボ」という単語もあります。もちろん、「息子の前ではバカになってしまう人」を意味するでしょう。でもやっぱりよく使われるのはタルバボの方です。その理由はよく分かりませんが私は、「父と娘」という関係は一言では説明できないけど何か涙が出そうな関係であって、どの関係よりもつながりが強い関係だからではないかと思っています。 私、そしてこの文章を読んでいる皆さんの父もタルバボだったはずですね。いや、今もみなさんには相変わらずタルバボの姿でいらっしゃるはずだと思います。
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